
《2024年9月、船井電機の経営を引き継いだのがEFI株式ファンドだ。代表社員の福井啓介氏(60)は船井の副社長になる予定だったが、結局、取締役として登記されなかった。「はめられた」と語る福井氏が、船井の経営継承をめぐる「騒動」について語った》
24年9月10日、当時船井の社長だった上田智一氏と経営権譲渡の契約を交わしました。
場所は上田氏が社長の出版社「秀和システム」(東京)のオフィス。時間にして30分間ほどでしたが、実は混乱していました。
なぜなら、この日に初めて契約書を見せられたんです。EFI社を一緒に立ち上げた古寺誠一朗氏(船井の親会社の代表取締役に就任)から「内容は知らないほうが良い。そのほうがきれいでいられるから」と言われていました。
いま思うとあり得ません。自分の会社の契約だからしっかり知っておきたいと思い、何度か教えてほしいと求めたが、知らなくて良いと。そのやり取りは音声で残しています。何だかリスクがあるように感じていましたので。
私は経営コンサルタントですが、M&A(企業の合併・買収)に詳しいわけではありません。それで彼に任せていたのが間違いでした。
船井電機の破産は、なぜ突然申し立てられたのか。なぜ経営陣同士が争っているのか。300億円はどこに消えたのか。キーマンたちに聞くと、言い分は食い違い、「私はだまされた」と口をそろえた。本当にだまされたのは誰なのか?
【動画】混迷の船井電機 対立の構図を解説
- 船井電機破産の経緯と新旧経営陣の訴訟合戦 チャート図と動画で整理
- 【対立する主張はこちら】船井電機を1円で買った兄と弟
《契約書には、秀和などが船井側から借りた11億7千万円を返済しなくていいことや、上田氏の役員在任中の責任を追及しないことが記されていた。条件次第で上田氏が1円で全株式を買い戻せることも盛り込まれていた》
すべて初耳でした。このとき…